○河合町手話言語条例
令和2年9月30日
条例第23号
言語は、お互いの感情や考えを伝え合い、互いを理解しあう上で欠かすことのできないものである。さらに言語は、知識の蓄積を可能とし、文化の創造を促し人類の進歩に大きく寄与してきた。
手話は、音声言語とは異なり、手指や体の動き、表情を使い独自の語彙や文法体系をもって視覚的に表現する言語である。手話はろう者にとってアイデンティティであり、聞こえる人たちの音声言語と同様に、必要な情報の獲得や自らの意思を示すコミュニケーションの手段として重要な役割を担っている。
障害者の権利に関する条約や障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話が音声言語と同様に言語であると明記されたが、現在の社会において、手話と接する機会は少なく生活する様々な場面において、ろう者が円滑に意思疎通を図り、必要な情報を取得することができる環境が十分に整備されているとは言えず、また、手話や手話を必要とする人に対する理解も深まっているとは言えない。
河合町は、手話が言語であるという認識に基づき施策を推進し、手話を必要とするすべての人の社会参加の促進と安心して暮らせる地域社会の実現を目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解促進及び手話の普及に関して基本的事項を定め、障がいの有無にかかわらず全ての町民が共生できる地域社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 手話への理解の促進及び普及は、手話が独自の言語体系及び歴史的背景を持つ文化的所産であることを理解し、手話を必要とする人が手話という言語により意思疎通を円滑に図る権利を有するという基本的な認識の下に行われなければならない。
(町の責務)
第3条 町は、町民の手話に対する理解を深め、手話を使用しやすい環境となるよう、合理的配慮のもとで手話に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
(町民の役割)
第4条 町民は、第2条に規定する基本理念に対する理解を深め、手話に関する本町の施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、第2条に規定する基本理念に対する理解を深め、手話に関する本町の施策に協力するよう努めるとともに、手話を必要とする人が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(施策の推進)
第6条 町は、次に掲げる施策について総合的かつ計画的に実施するものとする。
(1) 手話に対する理解及び手話の普及に関すること。
(2) 手話による情報取得に関すること。
(3) 手話による意思疎通支援に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、町長が特に必要と認めること。
2 町は、第1項に規定する施策については、障がい者のための施策に関する町の計画と調和を保ち、ろう者等の意見を聞きながら推進していくものとする。
(災害時の対応)
第7条 町は、災害時又は非常時において、手話を必要とする人に対し、情報の取得及び意思疎通の支援について必要な措置を講ずるものとする。
(財政上の措置)
第8条 町は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(その他)
第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、令和2年10月1日から施行する。