○河合町議会基本条例
令和2年9月30日
条例第29号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第4条―第9条)
第3章 町民と議会の関係(第10条―第14条)
第4章 町長等と議会の関係(第15条―第22条)
第5章 議会運営(第23条―第28条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第29条―第31条)
第7章 議員の政治倫理(第32条)
第8章 議員の定数及び議員報酬(第33条・第34条)
第9章 最高規範及び条例の見直し(第35条・第36条)
附則
河合町議会は日本国憲法に定められた議事機関であり、議会を構成する河合町議会議員は河合町民による直接選挙によって選ばれた町民の代表である。議会は地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づき、町政における課題の論点及び争点を明らかにして十分に議論を尽くすとともに、町政運営への監視と評価機能を強め、さらに政策の立案及び提言等を積極的に行うことにより、河合町の団体意思を確定する権限及び責務を有している。
社会経済情勢が大きく変化し、町民ニーズが多様化・高度化する中で、本町議会には、二元代表制の下、町民の信託に応えるために異なる特性を生かし、町民の意思を町政に的確に反映するために切磋琢磨し、最良の決定をなす使命が課せられている。
この条例は、地方議会の基本的な目的や役割を明らかにし、その議会活動のあり方や原則を示し、自治立法権を担う地方議会の機能、制度などについて、開かれた議会、討論する議会、衆知を集める議会、行動する議会へと充実・強化を目指すものである。また、町民との関係についても、議会としてどのようにあるべきかを基本的な考え方を示すとともに、議事機関としての議会が、自治運営の基本原則や重要政策の企画立案に主導性を発揮し、町民から頼りにされる存在として活動する姿勢をここに定めるものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、二元代表制の下での議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、公正かつ公平で透明な議会運営を図り、もって町民福祉の向上及び民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、町政において、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)と対等の議事機関として、町民の多様な意思を的確に把握し、町政に反映させるため、公平かつ適正な議論を尽くし、地方自治の本旨の実現を目指すものとする。
(基本方針)
第3条 議会は、前条の基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づいた議会活動を行うものとする。
(1) 議案、議会の議決に付される全ての事件(以下「議案等」という。)の審議又は審査による政策決定を行うこと。
(2) 町長等の事務の執行について監視及び評価を行うこと。
(3) 町政の課題について調査研究を行うことにより、独自の政策立案及び政策提言に取り組むこと。
(4) 町民に対して積極的な議会活動の情報公開及び情報発信に努めるとともに、町民が参画しやすい開かれた議会運営に努めること。
(5) 時代の要請にあった議会改革に継続的に取り組むこと。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会活動の原則)
第4条 議会は、町民を代表する議事機関であり、公正性及び透明性を重んじ、町民の多様な意見、要望及び提言を町政に反映させるため、町民参加を進め、町民に開かれた議会運営を行うものとする。
2 議会は、町長等と常に緊張ある関係を構築し、議会の権限を行使するものとする。
3 議会は、町政の課題及び争点を明らかにするとともに、多様な民意を反映するため、各議員の発言及び議員相互の討議を尊重するものとする。
(議長の役割)
第5条 議長は、議会の代表として、議会の品位を保持し、議会の機能強化に向けて先導的な役割を果たさなければならない。
2 議長は、中立かつ公平な立場で職務を行い、民主的で効率的な議会運営を行わなければならない。
(議長及び副議長志願者の所信表明)
第6条 議会は、議長及び副議長の選出に当たっては、それぞれの職を志願する者に対して所信を表明する機会を設けるものとする。
(議員の活動原則)
第7条 議員は、町政について、町民の意見を把握するとともに、自己の能力を高めるために研鑽し、公平公正かつ的確に判断し、計画、施策及び事業の立案及び提言を行うよう努めるものとする。
(委員会)
第8条 委員会(常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会をいう。以下同じ。)は、議案等の審査、町政に関する課題の調査又はその所管に属する事務に関する調査の充実を図ることにより、その機能が十分に果たされるよう努めるものとする。
2 常任委員会及び特別委員会(予算特別委員会及び決算特別委員会を除く。)は、議会の閉会中においても各所管に属する事務に関する調査を行うよう努めるものとする。
3 委員会は、その審査又は調査に当たって資料等を積極的に公表し、町民に分かりやすい議論を行うよう努めるものとする。
4 委員長は、中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な委員会運営を行うものとする。
5 前各項に定めるもののほか、委員会に関しては、河合町議会委員会条例(平成4年3月河合町条例第7号)の定めるところによる。
(会派)
第9条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、基本的政策が一致する議員で構成し、活動する。
3 会派は、政策決定、政策立案その他の議会活動に関し、必要に応じて会派間で相互に協議を行い、円滑かつ効果的な議会運営を図るものとする。
第3章 町民と議会の関係
(会議の公開等)
第10条 議会は、公正かつ公平で透明な議会運営に資するため、本会議及び委員会を原則として公開するものとする。
2 議会は、あらかじめ会議の日程等を町民に周知するよう努めるものとする。
3 議会は、本会議及び委員会の傍聴人に対して議案等の審議又は審査のための資料等の提供に努めるものとする。
4 議会は、町民が傍聴しやすい環境の整備に努めるものとする。
(議決責任等)
第11条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、自治体としての意思決定又は政策決定に係る議決をしたときは、町民に対して説明する責務を有する。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責務を有する。
(広報及び広聴の充実)
第12条 議会は、町民とともに歩み、町民に開かれた議会を実現するため、議会活動に関する情報の積極的な公開及び発信に努めるものとする。
2 議会に関する広報及び広聴の内容は、議会運営委員会において必要な事項を協議するものとし、その在り方等について常に検証し充実を図るものとする。
(議会報告会)
第13条 議会は、必要に応じ、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うことができる。
(請願及び陳情)
第14条 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案として取り扱うことができる。
2 請願の審査に当たって必要があると認めるときは、その提出者の意見を聴く機会を設けることができる。
第4章 町長等と議会の関係
(監視及び評価等)
第15条 議会は、議案の審議、検査、監査の請求及び調査の実施並びに一般質問を通じて、町長等の事務の執行について公平に、公正に、かつ、効率的に行われているかどうかに関して、監視及び評価を行うものとする。
2 議会は、町長等から政策の提案を受けたときは、必要性、効果等について、政策の評価の視点を踏まえ、審議及び審査を行うものとする。
3 議会は、町長等に対する監視、評価及び政策の提言を行うため、町長等との情報の共有に努めるものとする。
4 議会は、町長による専決処分が最小限になるよう、地方自治法第101条第2項及び第3項の規定による臨時会の招集請求権を積極的に行使するものとする。
(政策立案及び提言等)
第16条 議会は、条例の制定及び改廃、町長が提案した議案の修正、決議並びに請願の採択を通じて、町長等に対し、積極的に政策の立案及び提言を行うものとする。
2 議会は、本会議において可決した決議及び採択した請願が町政に関するものであるときは、町長等に対し、その内容を最大限尊重するよう求めるとともに、当該決議及び請願に関する事後の状況、対応等を速やかに議会に報告するよう求めるものとする。
(町長等による政策の説明等)
第17条 議会は、町長等が議会に政策を提案したときは、審議及び審査を通じて政策水準を高め、議決責任を担保するため町長等に対して、次に掲げる事項に関する情報を提供するよう求めることができる。
(1) 政策の背景、目的及び効果
(2) 政策の根拠となる関係法令及び条例
(3) 政策の総合計画における位置付け
(4) 政策の実現のための財源及び将来にわたるコスト計算
(5) 他の地方公共団体の類似する政策との比較
(6) 他の政策との比較検討
(7) 政策への町民の参画の有無及びその内容
2 議会は、町長が議会に予算議案を提出するときは、町長に対して、施策別及び事業別の分かりやすい説明資料を提供するよう求めることができる。
3 議会は、町長が決算議案を提出するときは、町長に対して、議会の評価を行うための政策の進捗及び成果を示す分かりやすい説明資料を提供するよう求めることができる。
4 議会は、前3項に規定するもののほか、町政に係る調査に必要な情報の提供を町長等に対して求めることができる。
(会議における質疑応答)
第18条 本会議における質疑及び質問は、一括質問一括答弁の方式又は一問一答の方式によるものとし、論点及び争点を明確にして行うものとする。
2 町長等及びその補助機関である職員は、議員の質疑又は質問に対して議長又は委員長の許可を得て、その発言の論点及び争点を明確にするため、当該議員に対し趣旨を確認することができる。
(重要な施策等の審議)
第19条 議会は、重要な政策等の提案を受けたときは、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における評価に資する審議に努めるものとする。
(令4条例17・一部改正)
(予算及び決算審議における説明)
第20条 議会は、町長が予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料の作成を求めるものとする。
(議決事件の追加)
第21条 議会は、行政運営の監視機能を強化するため、地方自治法第96条第2項に基づく議会の議決事項は、次に掲げる事項とし、町政全般にわたる重要な計画等であることから、議会が積極的に審議を行うものとする。ただし、前の計画から趣旨の変更を伴わない軽微な変更の場合は、この限りでない。
(1) 総合計画の基本構想及び基本計画
(2) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第18条の2に基づく市町村の都市計画に関する基本的な方針
(3) 子ども・子育て支援事業計画
(4) 介護保険事業計画及び高齢者福祉計画
(5) 障がい者計画及び障がい福祉計画
(6) その他重要と認められる町の計画
(令4条例17・一部改正)
(議員の文書による質問)
第22条 議員は、閉会中に町長等に対し、議長が別に定める様式により文書で質問を行い、文書による回答を求めることができる。
2 町長等は、前項の規定による質問を受けたときは、速やかに回答しなければならない。
3 前2項の文書による質問及び回答は、全議員に通知することができる。
第5章 議会運営
(討議による合意形成)
第23条 議会は、議員相互の討議を基本に運営するものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において議案等に関して審議し、又は審査して結論を出すときは、必要に応じて議員相互の討議により合意を形成するものとする。
3 議会は、諸課題に関する議員相互の共通認識を図り、政策の検討を行うときは、必要に応じて全議員による討議を行うものとする。
(学識経験者等の活用)
第24条 議会は、議案等の審議の充実、政策形成機能の強化及び政策の評価に資するため、学識経験を有する者等の知見を積極的に活用するものとする。
(調査機関の設置)
第25条 議会は、議会活動及び政策の重要案件に関する調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
(予算の確保)
第26条 議会は、議事機関としての機能を充実するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(議会改革の継続的な取組)
第27条 議会は、二元代表制における機能強化及び時代に即応した最も効率の良い議会運営を実現するため、継続的な議会改革に取り組むものとする。
2 議会は、町民に分かりやすい議会運営を行うため、議会の会議に関する規則、委員会に関する条例等を継続的に見直すものとする。
3 議会は、前2項の規定による取組を行うため、議員で構成する推進組織を設置することができる。
(危機管理)
第28条 議会は、災害等から町民の生命及び財産を保護するため、日常的に必要な対策を推進するとともに、災害等発生時は行政と必要な協力を行い、その対策に当たるものとする。
3 議会本部の組織及び運営に関し必要な事項については、議長が別に定める。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修)
第29条 議会は、議員の政策形成、政策立案等に係る能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家や町民等を招いて議員研修を実施するよう努めるものとする。
3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、研修を行わなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第30条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備に努めるとともに、政策の立案及び提言等を支援するため、議会事務局の調査及び法制機能の充実を図るものとする。
(議会図書室)
第31条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理運営するとともに、その機能の充実に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理
(議員の政治倫理)
第32条 議員は、町民全体の代表として、その倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 その他政治倫理に関しては、河合町政治倫理条例(平成14年12月河合町条例第35号)及び団体に対する補助金等に関する予算の執行の適正化に関する規則(昭和61年11月河合町規則第18号)に定めるところによる。
第8章 議員の定数及び議員報酬
(議員定数)
第33条 議会は、その役割及び責務を果たすことができるようになることを前提として、議員の定数を別に条例で定める。
2 議会は、議員の定数を変更しようとするときは、町の現状、課題及び行政需要、地方自治制度の動向並びに町民の意見を考慮するものとする。
3 議会は、議員の定数について、一般選挙を経た任期開始から3年以内を目途として協議し必要があるときは改正する。
(令5条例10・一部改正)
(議員報酬)
第34条 議員報酬は、社会経済情勢、本町の財政状況、類似する他町の議員報酬等を勘案し、議員の活動状況を反映することを主眼に定められなければならない。
2 議員報酬に関しては、別に条例の定めるところによる。
3 議員報酬に関しては、一般選挙を経た任期開始から3年以内を目途として協議し必要があるときは改正する。
(令5条例10・一部改正)
第9章 最高規範及び条例の見直し
(最高規範)
第35条 この条例は、議会における最高規範であり、他の条例、規則、規程等の制定改廃に当たっては、この条例を尊重し、整合を図らなければならない。
2 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
(条例の見直し)
第36条 議会は、常に町民の意見、社会情勢その他の状況の変化を勘案し、議会運営に係る不断の評価及び改善を行い、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
2 議会は、この条例を改正する場合においては、全議員が賛同する改正案であっても、本会議において改正の理由及び背景を説明するものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和4年条例第17号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和5年条例第10号)
この条例は、令和5年5月1日から施行する。